今日庵拝観
圖文 Nelly Huang
今回の旅は、いろんな場所へ行った。
一番印象深いのは、やっはり、今日庵の拝観だった。
古い歴史を持ちながら、今でも使いつづけている茶室の中で、裏千家の学員さんが流暢でしかも穏やかで説明してくれた。その時の茶室の陰翳は、まさに日本特有の美意識の表現だ。
前に読んだ文章が目の前に浮かんできた。
「日本座敷の美は全く陰翳の濃淡に依って生れているので、それ以外に何もない。........われわれは、それでなくても太陽 の光線の這入りにくい座敷の外側へ、土庇を出したり縁側を附けたりして一層日光を遠のける。そして室内へは、庭から⋯⋯の反射が障子を透してほの明るく忍び込 むようにする。われわれの座敷の美の要素は、この間接の鈍い光線に外ならない。われわれは、この力のない、わびしい、果敢ない光線が、しんみり落ち着いて 座敷の壁へ沁み込むように、わざと調子の弱い色の砂壁を塗る。」
~谷崎潤一郎《陰翳礼讃》
暑いけれども、ときに扉が開く時の涼しさがより一層の救いと思われた。その珍しい涼しさを大切にして、庭の風景をよく味わって、より深く禅の境界へ入るかもしれない。
先人たちは茶室にいろんな工夫を凝らした。その逸話を聞きながら、この暑さも耐えられるんだ。
先人とわれわれの交流は、この無言の茶室の中で。先人たちはいったい何を伝えたいのか。何を残したいのか。この逸話からうすうすと感じていた。実に面白いとは思わないか。歴史を知るこそ、伝統を守るんだ。守りつづけたいのは、物ではなく、「道」なんだ。
今回は先生についてここに来て、ほんとによかった。
先生、ご苦労様、そしてありがとうございました。
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